A&D のカセットデッキ GX-Z9100 を修理

暫く使っていなかったカセットデッキ、A&DのGX-Z9100を久しぶりに動かしたところ、先ずテープのイジェクトが引っ掛かってうまく出てこないという不具合が生じていた。

さらに、再生は一応出来るものの、早送り、巻き戻しはいずれもテープが回転しない、あるいは少しだけ動いて止まる、といった動作になっていた。

大抵の機器は長期間使用しないでいると何かしら不具合があるものだが、所謂高級テープデッキなだけにおいそれと故障だと諦める気持ちにも慣れず、分解して調べてみることにした。

f:id:i10u:20211124005139j:plain

とりあえずテープ周辺のメカ部分を観察してみたところ、イジェクトに関してはグリスの固着なのか、ピンチローラーが降りる動作がモッサリしていてテープに引っ掛かることでイジェクト不良が起きているようだった。

しかしだからといってメカを細かく分解してオーバホールするにはリスクが高すぎる(時間も掛かるし、複雑で元に戻せなくなりそう)と思ったので、グイグイと可動部を何度か動かして動きがスムーズにならないかなぁと期待したが、余り効果は無かった。

一応、イジェクトがもし引っ掛かった場合にはピンチローラー部を無理矢理少し下げるとか、イジェクト時に扉の開くのを指で押さえて少し遅らせれば開きやすくなったので今回は深追いせず、それで済ませることにした。

 

そして問題は早送りと巻き戻しが出来ないことだが、最初はどこかベルトでも切れているからなのかと思ったが、どうやらそういうことでは無かったらしい。

構造を見ていくと、早送り、巻き戻しは下の写真の真ん中辺にあるプーリーが左右それぞれのリールに接する事で回転を伝えて動作するようになっていた。

f:id:i10u:20211121052238j:plain

で、どうもそのプーリーのゴムが磨り減って、もしくは経年劣化で硬化して摩擦が低下して回転が滑って伝わらないという現象が起きているようだった。

このプーリーのゴム部分の摩擦を回復させるような事が何か出来れば、とか、何か別のゴムリングで代替させようか、などと考えたが、ネットで調べてみると交換用のパーツが売られている事が分かった。

しかしこのゴムパーツ、高々直径10数ミリのゴムリング一つなのに送料入れて650円くらいするのだ!! これを買うべきか、もっと安い同等のものを探して代用するか、と考えたが、まだこのゴムを交換すれば直るのかどうかも分からない状態で怪しい代用品を試して上手く行かなかったりしたら意味が無いと思い、この交換用パーツを買うことにした。

で、ゴムを交換してみたら早送り、巻き戻し共に問題無く動くようになった。

まあ高いなぁとは思ったが、直ったのだから良しとしよう。

amzn.to

 

ちなみに交換パーツはゴムリングのみなので、プーリー部分は使い回すことになる。

一旦取り外さないとリング交換が困難そうだったので軸に固定している小さな留め具を外してプーリーを取り出すことにしたが、この小さな留め具を含め、部品が小さすぎてもう一度止め直すのにとても苦労した。

この小さな留め具はスナップリングとかE型止め輪とかいうものらしい。そんなことも今回調べて初めて知った。

きっとまた忘れた頃に同じような故障が起きるのだろうなと思いつつ、その時のために今回のこの顛末をこうしてブログに残しておくことにする。