最近ちょくちょくDavinciResolveで動画編集をやる機会があるのだが、そんなにガッツリ使う機会があるわけでもないので、「こんなことがやりたい」と思ってもやり方がわからないし、調べてやれたとしてもそれをすぐに忘れてしまう、ということが多発している。
ということで、例によって備忘録として、逆引きマニュアル的に記事にして残しておこうと思う。
※ちなみに私が使用しているのは有料版(DavinciResolveStudio)なので、無料版のユーザの方には参考にならない部分もあるかもしれない。
で、今回のテーマは、タイトルの通り、「映像内のモニター画面に別の映像をはめ込む方法」について。
要するに、例えばリビングを映した動画で、リビングのTVの画面に何か動画をはめ込みたい、もっと言えば、その画面に登場人物が重なっている場合でも、ちゃんと人物のところは手前に見えるような編集をしたい、ということ。
作業の全体像(レイヤー構造)
作業はレイヤーを分けて行うのが確実である。
- V1(下層):テレビ画面へのはめ込み用(Fusion)
- V2(上層):手前の人物切り抜き用(Color / Magic Mask)
同じクリップを上下に重ねて配置してから作業を開始する。
1. モニターへの映像はめ込み(Fusionページ)
まずはV1クリップを選択し、Fusionページで作業を行う。動いているモニターを追尾するには平面トラッカー(PTra)を使用する。
基本手順
Shift + Space で「平面トラッカー」を追加。
- 別動画をはめ込みたいエリアをポリゴンで囲む。
- 平面トラッカーのインスペクターでトラッキングを実行。
- インスペクターの「Operation Mode」を「Track」から「Corner Pin」に変更。
- はめ込む映像をメディアプールからノードエリアにドロップする。
- 出てきたノード(MediaIn2)の灰色端子をPlanar Trackerの緑色の入力に接続。
【重要】ピンが動かない・形が崩れる場合の対処
トラッキング後に「Corner Pin」モードにしても、四隅のピンが反応しない、あるいは映像が変形して表示される場合がある。
これは「基準となるフレーム」が決まっていないことが原因かもしれない。
- 対処法:平面トラッカーのインスペクタにある「Set(Reference Timeの横)」ボタンを必ず押すこと。
これを押すことで基準フレームが確定し、四隅をドラッグしてモニターに合わせられるようになる。
※SetボタンはOperation Modeが「Track」になっていないと表示されない点に注意。
馴染ませるコツ
はめ込んだ映像が鮮明すぎると浮いてしまう。MediaIn2とPlanar Trackerの間に「Blur(ブラー)」ノードを挟み、数値を少し上げることで奥にあるモニターらしく馴染む。
Blurを挟む手順は以下。
- MediaIn2のノードをクリックしてアクティブにする。
- ノードエリアの上にあるツールアイコンの中の水滴のようなアイコン(Blur)をクリック。
- 自動的にMediaIn2ノードの後ろにBlurノードが追加されるので、そのノードをクリックしてアクティブにする。
- Blurノードのインスペクタでブラー度合いを調整する。
2. 手前の人物をマスク処理(カラーページ)
次にV2クリップを選択し、カラーページへ移動する。DaVinci Resolve 20のMagic Mask(マジックマスク)を使用する。
手順
- マジックマスクツールを選択(人物アイコン)。
- プレビュー画面で人物の上をスポイトでなぞる(これだけでAIが認識する)。
- 双方向トラッキングを実行。
- ノードエディタで右クリックし「アルファ出力を追加」を選択。
- ノードの青い四角(出力)と、右端の青い丸(アルファ出力)を接続する。
これで「人物以外が透明」になり、V1で作成した合成映像が透けて見えるようになる。
3. 重い処理を軽くする(書き出し・再配置)
FusionとMagic Maskを併用するとPC負荷が高く、再生がカクつく。編集をスムーズに進めるためにレンダリング処理が必要だが、ここで躓いたので記録しておく。
失敗例
- 「その場でレンダリング(Render in Place)」:クリップ単体に対して行われるため、V1とV2の合成(重なり)までは処理されない。また、アルファチャンネルなしの形式を選ぶと背景が黒くなるトラブルも起きやすい。
- 「複合クリップ」化:Magic Maskを含むクリップを複合クリップにすると、キャッシュが外れて映像が消える(透明になる)現象が発生した。
確実な解決策:範囲書き出し
最も確実なのは、一度動画ファイルとして書き出して一本化することだ。
- タイムラインで合成箇所の範囲(イン点・アウト点)を指定。
- 「クイックエクスポート」等で、劣化の少ない形式(ProRes / DNxHRなど)で書き出す。
- 書き出したファイルをV3トラックに乗せる。
- 問題なければ、下のV1・V2トラックは無効化または削除する。
これで複雑な合成処理が「1本の軽い動画ファイル」となり、その後の編集が快適になる。
以上。